【その④】インプットが苦手な子の場合

こちらの記事を読む前に、以前書いた「定期テスト80点に達しない子の5つの主な原因」をご覧いただくと、概要が分かります。

目次

主なケース

①読む、聞く、見るなどのインプットに必要な基礎的な力が乏しい。
②読んだり聞いたりしたことを、自分の言葉に変換できない。

①のタイプの子の現状

漢字の読み書きができない。語彙力がない。他人の話を聞こうとしても聞けない(一度目は雑音にしか聞こえていない)。他人の話を聞き流してしまう。何度も言われて、ようやく指摘に気付く。

②のタイプの子の現状

知識を見たまま、聞いたままにしか頭に保存できない。物事を一つの側面でしか捉えられない。少し言葉を変えて質問をすると、途端に答えられなくなってしまう。捉えたものに多様性がない。
例えば、平行四辺形の性質を覚えた際、正方形に平行四辺形の性質を見出すことができない。正方形は正方形、平行四辺形は平行四辺形と区別されてしまう。正方形は正方形であり、かつ平行四辺形でもある、というような多面性を理解することが苦手。対象へのアプローチがワンパターンになっている。

知識を派生できないので、何度も解いたことがある問題しか解けない。類似した問題を解けるようになるには、多くの経験値を積む必要がある。ただ、それがある1つの内容でできるようになったとしても、他の内容に変わってしまうと、それはそれで経験値を積まなくてはならない。

解決法①

率直に言ってしまうと、小学校で身に付けておくべき処理能力・実行能力が身についていません。漢字や語彙などに関しては、読んだり、書いたり、また会話をすることで、少しずつ改善されます。まずはそういった単純な作業を集中して実行する練習をしていかなければなりません。続けていくことで状況は解消されていきます。

話が聞けない子は、そもそもの原因について論じなければならないため、今回は割愛します。

解決法②

①と異なり、数学や社会などの各教科の勉強を行っても根本的な解決にはなりません。先のように、次の設問や内容に進むと、またリセットされゼロからのスタートとなり、膨大な時間がかかってしまいます。学年が上がるにつれ、学習内容が複雑化し、学習量も増えるため、結局準備が完了しないままテストを向かえることになってしまいます。

では、根本的に解決するにはどうすればよいか。まずは、教科の勉強に関わらず日常生活も含め、ある事象を捉えた際に、そこから言えること、考え得ることをできる限り列挙する練習をするのが良いと思います。

まずは、考える。そしてそれをどんな形(書いても言っても)でもよいので、自分の言葉を使って頭から出す(とりあえず、単語でもいい)。自分の言葉でインプットして自分の言葉でアウトプットをする練習。それを繰り返す。そうすると、類似したものや同じものが、時空を超えても、似ている、同じだと感じられるようになってくるはずです。

しかし、当然、これもはじめは一人ではできません。ヒントをもらいながら誰と一緒にやっていかなければなりません。なおかつ、とても時間がかかります。数ヶ月で劇的に変わるようなことはほぼなく、年単位でじっくり取り組まなければならない問題です。

まとめ

とにかく、中学生の取り組みを見ていると、程度の差はあれ「類推する能力が弱い」と感じることがかなり多いです。これは、先に述べた通り、ある事象に対して多角的に捉えるということが不十分なためであり、また、ある事象に対してのアプローチのトライアンドエラーの回数が極端に低いためでもあります。一度試してダメだとすぐに諦めてしまう。一度そうだと思ったらそれ以外無いと思い込んでしまう。

あえて単純に言ってしまうと、「集中力が足りていない」ということだと思います。物事を自分ひとりでじっくり考える、考え抜くという無雑で崇高な行為がほとんどなされていないことが決定的な原因なのではないでしょうか。

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