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国語と数学の基本は同じ
常々言っていることに「国語・数学の基本は一緒。英語はできて当たり前。」というのがあります。(リズムがいい)
塾を創る前に1年近く練馬のガスト(“聖地”と呼んでいます)に通って打ち合わせをしていましたが、最終的にいつもこの話になってしまうほど、私たちが重視しているポイントでもあります。
この話をブログに書くと何十編にも渡って書くことになってしますので、今まであまり触れてきませんでしたが、今回はポイントを絞って軽く触れてみようと思います。
国語と数学には共通するポイントが多々あります。
その共通項のひとつに「より多くの情報を読み取れるかどうか」というものがあります。
国語の読解問題、難度の高い関数・図形問題などはこの能力が水準を下回ると、ほとんど解けなくなり“勘”で解答するしかいない状態になってしまいます。
(“得意”というのはVもぎで偏差値65以上を常に取れる程度と考えてもらえればよいと思います。)
より多くの情報を読み取る=暗示されていることを読み取る
より多くの情報を読み取るとは、「暗示されていることを読み取る」ということです。
端的に言うと、「言われてないけど言われていること」を読み取るということです。
(さらに言えば、「暗示されていることを読み取って点と点を線で結べるかどうか」が勉強全般の得手不得手を決定づけるポイントです。俗に言う「1言ったら10分かるタイプ」の子は無意識のうちにこれをやっています。論理的思考・類推的思考と言われるものです。)
簡単な例題をあげます。
例題①
「角Aと角Bがそれぞれ60度の三角形」
この文から読み取れることはどんなことでしょうか?
明示されていること(明らかに言われていること)
・60度の角Aと60度の角Bがある
暗示されていること(言われてないけど言われていること)
・残りの角Cも60度(三角形の内角の和=180度より)
・この三角形は正三角形(角がすべて60度のため)
・その三角形のすべての辺の長さは等しい(正三角形の定義より)
論理的思考で導き出せるものを挙げました。
類推的思考を使えば他にも応用的に書き出せることはたくさんありますが、とりあえず今はこんな感じに。
「角Aと角Bがそれぞれ60度の三角形」という短い文に多くの情報が含まれていることがわかります。
暗示されていることを読み取れないと、ほとんどの問題に対処できなくなります。頭の良し悪しはここで決まります。
これは数学的な能力というよりは、国語的な能力と言ったほうがよいでしょう。
極端に言うと、数学は「見た目の変わった国語」と表現することもできるかもしれません。(高校以降の数学はもっとレベルの高い数学的思考力が必要です。)
余談ですが、東進の林修先生は現代文の講師になる前は数学の講師になろうとしていたらしいですね。つまり、そういうことです。
より多くの情報を読み取るには
より多くの情報を読み取るには、
①基本的なルールを“正確”に理解し、使いこなせること。(言葉の意味を正確に知っている←これについてはいずれ改めて書きたいと思っています、数学の公式・定義・定理などを原理的に理解している、等々)
②“予測しながら”分析的に捉えること。
が必要です。もっとありますが、まずはこの二つができないことには始まりません。
何らかの判断(行動の端緒となるもの)をする際の情報量が少ないと、その行動の成功率は下がってしまいます。
車の運転が下手、改札の前で急に立ち止まり鞄の中の定期券を探す、商品を袋に詰めていたら袋のサイズが小さかったので始めからやり直す、等のよくある光景は、当事者における判断する際の情報量が少ないが故に発生している現象だと考えられます。
別にそれが悪いと言っているわけではありませんが、大人でも人によっては難しく、しかしわかりやすく差が出る部分であるのは確かだということです。
講師は、この視点を持ちながら生徒の指導にあたらなければなりません。
パターンだけでオートマチックに処理させていると、すぐに成績の上限を迎えます。なぜパターンで解けるのか、条件・原理・パターンの連関などを正確に且つ有機的に理解していなくては応用が利きません。
さらに、パターンだけで何でも処理できるという短絡的な思考のままでは文章が表面的にしか見れなくなり、「読む」というよりも「活字の上を目線が滑っていくだけ」の状態になってしまいます……。(最近の中学生はびっくりするほど文章が読めません。もっと本を読む習慣をつけてほしいです(切実))
国語も同様
最後に、私が読解問題解説時に遊びで出す短い問題を例示して終えます。
生徒に今のような話をするときに出すものです。
例題②
「太郎はドアを閉めた。」
この一文から読み取れることはどんなことでしょうか?
「太郎がドアを閉めた」以外にこの文から読み取れることはどんなことでしょうか?
考えてみてください。
前述した通り、言葉の意味を正確に把捉することで読み取れる情報は増えるはずです。
それでは。
武井