【その③】演習不足の子の場合

こちらの記事を読む前に、以前書いた「定期テスト80点に達しない子の5つの主な原因」をご覧いただくと、概要が分かります。

目次

主なケース

① 部活動や習い事で忙しく、勉強時間があまり確保できない子。
② 時間はあるが、スマホ、テレビ、ゲーム、マンガ、昼寝などの趣味の時間がほとんどで、勉強時間は学校の宿題をする程度の子。
③ 勉強時間を設けても、具体的に何をすればよいかわかっていない子。

①、②のタイプの子の現状

 ①②に共通していることは、勉強の優先順位が低いことです。勉強よりも、ほかのことの優先順位が高いため、多少の時間があってもその時間を勉強に充てることをしないという状況です。

 特に②のタイプの子の場合、その子どもの姿を見て、お母様がイライラすることが多いです。(イライラするのは、テストの点数をもっと取ってほしいという気持ちからというよりも、その子どもの姿から何か努力しようという気持ちを感じられないことからの場合が多い。また、お母さんたちも気づいていないことが多い。)

 一方①では、子どもがあまり勉強していなくても、お母様がイライラすることは少ない。それは、部活や習い事から子どもの努力している姿を感じられるから。ただ、受験などを考えると、少し勉強も心配という感じ。

③のタイプの子の現状

 自分でも勉強をしなくてはいけないと思い机に向うが、何をすればよいかわかっていない。「とりあえず学校や塾の宿題をやるか、その後は...ノートでもまとめるか、いや問題集やろうかな...う~ん...あ、筆箱の中がペンでいっぱいだから整理しよう」というように、いつもやることが定まっていません。

 自分が理解できていない所を消化するために、あるいはテストで点数を取るために何をすべきかを全く分析できていません。その所為で、その都度「何をやろうかな」と考え、その時の気分でやることを決めてしまう。そのため、毎日漢字を30個覚えると決めても、3日も続かずに止めてしまいます。

 スタートとゴールを把握しないまま、勉強をしたつもりになっています。また、集中力もありません。
[aside type="warning"]非常に問題のある状況ですが、本人はそれに気がついていないことが多いです。[/aside]

どうすればよいか①・②

 勉強の優先順位を上げることが必要です。部活動や習い事に熱中しているのであれば、勉強も環境(場所と時間)が整えば進んでやるようになります。遊びに夢中な子も同じです(違う点と言えば、飽きっぽい・忍耐力が弱い・向上心が弱いとか、すぐに結果を求めたがることとかか?)。
 場所は、子どもが「居心地が良い」と感じないところが適切です。図書館、リビングなど。ほとんどの子どもに共通して言えることは、本人の部屋では勉強ができないということです。自分の部屋は一番リラックスできる場所と感じているため、集中するようなことはあまりできないようです。

 次に時間ですが、これも場所同様、明確に分けることが大切です。(ex:19時から21時までは勉強して、21時からはテレビを観る。)ダラダラと長時間勉強するよりも、短時間で終わらせる方が、集中でき、また趣味の時間もたくさん取ることができます。
 ただ、そこで難しいことが、親と子の間で約束しても、お母様・お父様は子どもにとって一番約束を破りやすい相手であることです。もちろん、それは親しい関係があるからです。よくお母様やお父様から「私が言うよりも、先生に言ってもらった方が子どもは耳を傾けます。」というお言葉をいただきます。場所や時間だけでなく、役割も明確に分けることも大切なのかもしれません。

 場所と時間、この2つが揃った環境を用意することが、子どもたちに勉強の優先順位を上げさせる1つの方法です。徐々に勉強の優先順位が上がれば、テストの点数も上がり、子どもたちの勉強へのやる気も上がってきます。そして、日々の生活が充実して、より楽しい日常を過ごそうと思うようになります。

[aside type="normal"]トリツ進学会では、勉強は学校と塾で終わらせて、家はリラックスする場と使い分けるように指導していることが多いです。もちろん、家でも勉強しますという生徒に対しては、それを尊重しています。[/aside]

どうすればよいか③

 まずは、目標にむけて何をすべきかということを考えることが大切です。ただし、このタイプの子は一人で考えるのはなかなか難しいので、誰かが一緒に考える必要があります。

 具体的には、

 ①目標に対して、今の自分ができていること、できていないことを挙げ、整理する。
 ②できていないことは、改善する必要があるか考える。
 ③改善すべきものは、どのように改善していくか、その方法を考える。
 ④それを実行して経過を見る。
 その後は①~④を繰り返す。

[aside type="warning"]注意すべきことは、一緒に考えている人が手とり足とりやってはいけないこと。[/aside]

 子どもの様子を見て、少しずつサポートする側が子どもから離れていくことが大切。そうすることで、困難にぶつかっても一人で乗り越えられる力が身につきます。その力を身につけた子どもは目標を達成できる可能性が高まります。

 上記の①~④の考えは、ほかの個別指導塾でも取り入れられています。しかし、①~④を先生がすべてやってしまっているため、表面的にしか解決できていないケースがほとんどです。

 たとえば、次のようなケースが挙げられる。
(ⅰ)受験は先生が毎日管理してやってくれたおかげで志望校に合格できた。入学後は塾に通わず、自分で勉強しようと思ったが、どうやって勉強すればよいのかわからない。→結局高2あたりで塾に戻ってくるが、ほとんど手遅れで志望校に届かない。→浪人または妥協
(ⅱ)以前に担当してくれた先生は、手とり足とりお世話してくれたけど、新しく担当になった先生はそうではない。→自分でやらなければならないことが多いが、何をすればよいかわからない。→意欲の低下

 どちらもその瞬間は解決しているように見えるが、後々ツケが回ってきてしまっています。麻薬のようなものです。

 当塾では、自主性を大切にしています。高校や大学に入るためだけに勉強するのではなく、自分自身を成長させるための一つとして勉強をしてほしいと考えています。

まとめ

 どのタイプのこにも共通して言えることは、まずは自分の現状を正確に捉えることから始めなければならないということです。
 闇雲に手を動かす前に、一度立ち止まって「何をなんのためにやるべきか、やらないべきか」ということを整理する訓練をしていかなければなりません。一朝一夕で身につくものではありませんが、しっかりと続けていくことが大切です。

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