目次
1学期をふりかえって
新しく入塾した生徒や保護者の方からの学習相談で特に多いのが「ケアレスミスが多いんですよ~」というもの。
テストが終わって、生徒にミスの原因を聞くと、やっぱり「ケアレスミスです。」という回答が多い。
特に、1学期はどの学年も”計算”の単元が多く、基本的な計算問題でのミスを皆「ケアレスミスだ。」と言って処理していることが多かったです。
「ケアレスミス」と強調したい心理的背景には「自分はこんな実力じゃない。本当はもっとできる。」「今回はミスしたけど、次はちゃんとできる。」といったことがあるようです。今回はたまたまできなかっただけだと思って見て見ぬフリをしている。
でも、それで解決するのだろうか?
本当に次は正答できるのだろうか?
「ケアレスミスに気をつけよう!」と思いながら解けば本当にミスは減るのか?
塾で働いていてしばしば思うのは、「ケアレスミス」という言葉をみんな都合よく使いすぎだということ。
今回は、その「ケアレスミス」について書いていきたいと思います。
計算ミスはケアレスミスではない
計算分野(文字式や方程式など)を一通り学習し、最後に単元確認テストを行うと、100点の子と80点台の子に分かれることが多いです。(それ以下の子は、単純に理解不足・学習不足)
計算力のある子は、簡単に計算ミスなどしません。たとえ39度の高熱があってもミスをすることはほとんどないはずです。これは、既にその子の中で“型”ができているから。こういう子は、型(一定のルール)に従って機械のように手を動かしていくだけでブレることなく正答に辿り着きます。
逆に、計算力のない子はどんなに体調が万全でもミスを連発します。そしてこれをケアレスミスと見做して放置したがります。
ミスを連発する背景には、実は分数の計算(約分・通分・逆数の考え方など)があやふやになっていたり、小学生の頃の小数点の処理の仕方ができなかったり、そもそも九九がスムーズに言えなかったり(中学生の場合は最低でも、11~15^2ぐらいまでは瞬発的にでてくるようになりたい)、足し算・引き算の暗算(繰り上がりや繰り下がり)がスムーズにできなかったり、といろいろな原因があります。
特に、中学生で計算が苦手な子は、九九と分数の計算が正しく頭に入っていないことがほとんどです。
みんなが「ケアレスミス」と判断してしまう簡単な計算問題でのミスは、このようにビックリするぐらい低レベルなところで躓いていることによって発生しています。
たとえ2次方程式のや連立方程式の解法を理解したとしても、もっと手前のところでミスが出てくるので、解法どおりに解いたつもりでも出た答えの数値は変わってしまっているわけです。
これをいつまでも「ケアレスミスだ」と言って処理し続けると、ミスの原因を分析することなくこれからも同様なミスを量産していくことになります。
「ケアレスミス」をなくすには
もうお分かりのように、今まで言ってきた「ケアレスミス」をなくすには、まずそれを「ケアレスミス」と捉えないようにすることから始めなければなりません。
「ケアレスミス」とまとめて処理してしまうから、その背後にあるミスの原因に気付けなくなってしまっている。「ケアレスミスのないように解こう!」なんて思いながら解いてもミスは絶対に減りません。
ミスに向き合い、原因を分析し、その対策を考えていく。
なぜミスをしたのか。どうしたら防げたのか・防げるのか。一問一問きっちり分析していく。一人でできないのなら先生に質問する。
このような地味なことを繰り返していくと、同じような問題に出くわしたときに、気をつけるべきポイントが自ずとわかってくる。ミスをしないようにする意識が働いて、以前のようなミスをしなくなります。
そうやって段々と“型”ができてきます。スピードも上がっていきます。計算が速い子ほどミスは少ないです。
まとめ
「計算ミスは演習量を増やせば直る」と考えがちですが、単純に解く量を増やせば良いというわけではありません。
ミスの背景にある原因を自覚し、気をつけるべきところを自分の頭で考えながらトライアンドエラーを繰り返す事によって、ようやく上達していきます。
これは計算や勉強だけでなく、すべての物事に言える「単純明快で唯一の上達法」なのではないでしょうか。
いつまでも自分の実力に向き合わずにいるとどこにも辿り着けずに漂流し続け、自分がなにをしているのかもわからなくなってしまいます。
まずは、しっかり分析から始めましょう。
次回は、もう少し具体的に「計算力」の育て方について書いてみたいと思っています。